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第1章 1.6 乾燥

1.6.1 目的

(a)揮発性分の除去(分離、精製)
(b)保存性の確保(変質および凝集固化等の防止)
(c)取り扱いの容易化(減量化、次工程また輸送性の合理化)
(d)製品品質制御(物性改善、機能性向上)

1.6.2 原理

 乾燥は、物質に含まれる水分(溶剤)を熱によって蒸発除去する操作である。伝熱には、対流、伝導、および放射の三態があり対流伝熱による乾燥を「直接加熱(熱風)乾燥」、伝導伝熱および放射伝熱による乾燥を「間接加熱(伝導)乾燥」と呼んでいる。いずれにしても、水を水蒸気に変化させるには、1kg当たり約2500kJの熱エネルギーを伝える必要があり、多岐にわたる被乾燥材料に対して各種乾燥装置が考案実用化されている。

(a)直接加熱(熱風)乾燥
 (1)固定層(静置、材料移送)
 伝熱は湿った材料と熱風との直接接触により行なわれ、蒸発蒸気は熱風によって運び去られる。粒子間には相対的な動きはなく、静止積層状態で乾燥される。

 (2)攪拌層
 粒子の運動は機械的攪拌や重力によって行なわれ、粒子は互いに他の粒子の上をよく流れる状態となっている。粒子が動くこと以外は(1)と同じ。

 (3)流動層
 粒子は下部から吹き込まれる熱風によって激しく流動し、ちょうど液が沸騰しているような挙動を呈する。この状態を流動層という。粒子が流動状態にあること以外は、(1)(2)と同じ。

 (4)希薄相、噴霧乾燥
 供給液はポンプ輸送が可能でかつ噴霧(微粒化)できるものであれば、溶液、スラリー、懸濁液、ゲル、ペースト、いずれでもよい。液は熱風中に細かい液滴となって分散され、乾燥室の壁面に到達する以前に蒸発する。空間に噴霧分散した状態で乾燥すること以外は、(1)(2)(3)と同じ。

 (5)希薄相、気流乾燥
 粒子群は高風速、高温の熱風中に細かく分散され、熱風に同伴される間に乾燥が行われる。
蒸発蒸気は熱風により運び去られる。

(b)間接加熱(伝導)乾燥
 (1)攪拌層
 湿り材料への伝熱は装置壁を通じて行なわれる。蒸発蒸気は大気圧下の乾燥では少量のキャリアガスにより、真空下の乾燥では凝縮器により除去される。粒子の運動は機械的攪拌や重力によって行なわれ、粒子は互いに他の粒子の上をよく流れる状態となっている。

 (2)固定層(静置、材料移送)
 粒子間に相対的動きは生じない。粒子は濃厚相として存在し、個々の粒子は静止している。粒子が静止状態であること以外は、(1)と同じ。

 (3)真空(凍結)乾燥
 真空下で溶媒の蒸発温度を操作圧力に応じた低温度に保って乾燥を行う方式。 多量の水分を有した乾燥材料を一般的に-30℃前後に凍結し,低真空(100Pa以下)下で加熱し、氷結晶(水分)を昇華させて除去する方法を真空凍結乾燥という。

 (4)マイクロ波乾燥
 マイクロ波(使用許可されている周波数は915、2450MHz)を照射し、高周波誘電加熱を起こして材料そのものを加熱する。水分は蒸発して固体層から分離除去される。

 (5)赤外線・遠赤外線乾燥
 熱エネルギーを、赤外線(波長0.76~3μm)、遠赤外線(波長3~1000μm)変換して放射し、分子内の原子分極振動で再び熱に変換して乾燥する間接加熱方式である。

1.6.3 装置の分類

乾燥方法としては、熱風乾燥、伝導乾燥およびその他に大別される。
 (a)直接加熱(熱風)乾燥……固定層(箱型乾燥、バンド乾燥、トンネル乾燥)、攪拌層(円筒撹拌、溝型撹拌、逆円錐撹拌、回転、撹拌機付き回転、多段円盤)、流動層、希薄相(噴霧乾燥、気流乾燥)

 (b)間接加熱(伝導)乾燥……固定層(箱型乾燥、真空・真空凍結乾燥、ドラム乾燥、真空バンド乾燥)、攪拌層(溝型撹拌、逆円錐撹拌、コニカル、回転乾燥)

 (c)その他……マイクロ波乾燥(箱型乾燥、真空・真空凍結乾燥バンド乾燥)、赤外線・遠赤外線乾燥(箱型乾燥、バンド乾燥、トンネル乾燥)

1.6.4 操作パラメータ

 乾燥は水分や有機溶剤を含む材料に熱を加えて蒸発させる操作である。熱の与え方は乾燥方式により違いがあるが、乾燥における主なパラメータとして、下記が挙げられる。

1. 材料含水率
2. 製品含水率
3. 熱風温度、加熱温度
4. 排気温度
5. 材料温度
6. 熱風量
7. 表面積、加熱面積
8. 定率乾燥速度、減率乾燥速度
9. 熱伝達係数、熱容量係数
10. 物質移動係数
11. 湿球温度
12. 熱風の絶対湿度
13. 湿球温度における飽和絶対湿度
14. 蒸発潜熱

〔株式会社大川原製作所 保崎 有香〕

更新日:2020年10月16日