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第1章 1.19 洗浄

はじめに

 医薬品製造、特に注射製剤用容器の洗浄に使用される洗浄装置また、止栓を目的とするゴム栓などの資材洗浄装置に関して解説する。
 通常、容器洗浄機は注射製剤自動ラインを構成する機器としてラインの先頭に設置される機械であり、洗浄機の後に乾熱滅菌機、充填機等が各々のプロセスを担当する。洗浄機の選定にあたり、洗浄効果はもちろんのこと、洗浄水に接する材質、取り扱い、汎用性そして安全性を考慮する必要がある。

1.19.1 目的

 接注射製剤資材の洗浄は容器付着異物を除去し製品への汚染を十分に防止することが主要な目的であり、総合的に定量、定常化されたシステムの採用により安定した異物除去を目的とする。

1.19.2 装置の分類と原理

(a)注射製剤容器洗浄
装置の分類としては超音波発信機を搭載した超音波洗浄機と非搭載である洗浄機に大別される。
アンプル、バイアル、そしてシリンジ等注射製剤容器の多様化に伴い(図1, 図2, 図3)、容器特性に適した洗浄方法や搬送方法が求められる。超音波照射により容器に影響を及ぼす場合は超音波非搭載の洗浄機を選定する。
原理としては容器内へ注水後、容器は水槽内の水中を搬送され超音波照射を受ける。超音波照射により容器内に付着した異物の剥離が促進され、容器は倒立状態で洗浄ノズルが備えられた各洗浄部で外面及び内面の洗浄が行われる。特に内部洗浄は洗浄針が容器内に挿入され、以下のような工程で高圧洗浄が行われたのち、次工程の「乾熱滅菌機」へ搬送される。
① 循環水による容器内洗浄1回目
② 循環水による容器内洗浄2回目
③ 容器内水切りエアーブロー
④ 注射用水による容器内最終リンス洗浄
⑤ 容器内水切りエアーブロー
⑥ 容器内水切りエアーブロー


 内部洗浄における各容器の洗浄原理として容器の種類により洗浄針の構想が分類される。内部洗浄効果を高めるために洗浄された汚水を効率よく新水と置換させることを目的とし一定の洗浄水置換回数を確保した機構となっている。

(a)ゴム栓洗浄
 装置の分類としてはゴム栓の種類により異なる洗浄パターンを搭載した装置となる。原理としてはゴム栓を個別分類した後、個別で保持搬送し、個別洗浄するものである。
 上下ノズル(図4)はゴム栓の上、下面凹凸部の洗浄を目的とし、横ノズル(図5)はゴム栓側面の洗浄を目的とする。未洗浄箇所が無いようにゴム栓を回転させ洗浄する機構となっている。付着異物を効率よく除去するために水とエアーを混合させたジェット噴射方式とし、噴出力を高め、横洗浄部ではゴム栓を回転させる目的も兼ね備えている。
 洗浄パターンとしては以下のような工程でジェット噴射洗浄が行われ、洗浄後回収コンテナへ収容されるかまたは蒸気滅菌装置へ搬送される。
① 上下ノズルによる循環水洗浄1回目
② 横ノズルによる循環水洗浄1回目
③ 上下ノズルによる循環水洗浄2回目
④ 横ノズルによる循環水洗浄2回目
⑤ 上下ノズルによるリンス水洗浄
⑥ 横ノズルによるリンス水洗浄
⑦  水切りエアーブロー

1.19.3 運転パラメータ―

(a)注射製剤容器洗浄
 運転パラメータ―は主に洗浄を目的とする循環水とリンス水の洗浄圧力、また残水除去を目的とするエアーブローの圧力を任意に設定可能である。対象異物の除去効果や対象容器における残水除去効果により設定する。

✔ 循環水による容器内洗浄:循環水内洗圧力
✔ 循環水による容器外洗浄:循環水外洗圧力
✔ リンス水による容器内洗浄:リンス水内洗圧力
✔ リンス水による容器外洗浄:リンス水外洗圧力
✔ 容器内水切りエアーブロー:容器内水切りエアー圧力
✔ 容器外水切りエアーブロー:容器外水切りエアー圧力

(b)ゴム栓洗浄
 運転パラメータ―は主に洗浄を目的とするジェット噴射の水及びエアーの圧力、また残水除去を目的とするエアーブローの圧力を任意に設定可能である。対象異物の除去効果、ゴム栓回転効果や対象ゴム栓における残水除去効果により各圧力を設定する。

✔ 上下ノズルによる循環水洗浄:循環水及びエアーの圧力
✔ 横ノズルによる循環水洗浄:循環水及びエアーの圧力
✔ 上下ノズルによるリンス水洗浄:リンス水及びエアーの圧力
✔ 横ノズルによるリンス水洗浄:リンス水及びエアーの圧力
✔ 水切りエアーブロー:水切りエアー圧力

〔シンテゴンテクノロジー株式会社 山口 剛司〕

更新日:2020年10月16日