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第1章 1.17 検査

1.17.1 目的

 高品質な医薬品を市場に供給するため、GMP(Good Manufacturing Practice)が制定され、実 施されている。製薬企業ではGMPに則り、高度な品質保証を目指して、製薬工程全般にわたる管理体制を構築している。
 このような状況下、医薬品製造工程における検査の重要性は拡大しているが、特に、外観検査は、包装工程前の「最後の関門」として重要視され、全数検査を行うことが標準的となっている。人の目による目視検査は、数十μmを判別するほど最高検出精度は高いが、熟練度、個人差、疲労度などによる検査精度の変動は避けられず、バリデーション上の本質的な問題がある。また、多くの熟練検査員を必要とし労務管理上の問題がある。そのため、目視検査員に代わって医薬品の高品質を一定基準で安定的に保証する目的で、自動外観検査システムが開発された。
 本来医薬品の自動外観検査システムに求められる要求事項は、検査精度および生産シフトにマッチした処理能力である。両性能とも現在の要求にマッチしたシステムが供給され安定領域に入ったと思われる。現在は夜間運転における安定性、錠剤の粉による影響をできるだけ排除した工夫がなされ、稼働率向上への取り組みがなされている。また、よりユーザーフレンドリーな装置が求められるようになり、一部AI(人工知能)を使用した簡単な条件設定、セットアップの容易性を追求した装置が開発されている。このように自動外観検査システムは年々進化を遂げ、医薬品製造になくてはならないものになっている。
 自動外観検査システムのほかには、重量選別機、金属検出機、差圧リーク検査機、ピンホール検査機などの各種自動検査機が実用化されて、医薬品の品質向上に寄与している。また、医薬品の内部情報(成分、水分量など)を非破壊で高速に検査できる近赤外光(NIR)による検査技術の実用化が進み、抜き取り検査等では実績をあげている。

1.17.2 原理、装置の分類

(a)錠剤外観検査システム
 錠剤外観検査システムの基本機構は、大別して供給、搬送機構、検査機構、選別機構に分けられる。供給・搬送機構では、錠剤がフィーダーにて整流部に供給され、ある列数に整列された後、ベルト、またはドラムなどのコンベアにより側面、表面、裏面の検査エリアを通過する。一般的に錠剤はベルト上に吸引固定され、検査中の姿勢を安定化する。両面検査のための錠剤反転は対向する1対のコンベア間での受け渡し方式が一般的であるが、昨今は、装置小型化、処理の高速化、ハンドリングのソフト化を図るため各社で様々な工夫が見られる。検査機構は、従来のCCDカメラ(ラインセンサ、またはエリアセンサ)からCMOSカメラ(ラインセンサ、またはエリアセンサ)へのシフトが始まり、刻印および形状検査を目的とする強調照明が光切断法を利用した3D検査に代わるなど、新しい技術の取り込みが性能向上に大きく寄与している。また、画像処理部も従来の基板ベースからパーソナルコンピュータ化が進み、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)との一体化による画像処理部の小型化、ロット毎のデータ比較などデータ処理の汎用性が増した。選別機構には不良選別、良品選別の区分があり、また選別動作の高い信頼性が求められる。また、高薬理活性薬の普及に伴い、錠剤外観検査システムにもコンテイメント仕様が要求されるようになり、すでに納入されている。

(b)カプセル外観検査システム
 カプセル外観検査システムの基本機構は、錠剤外観検査システムと共通である。ボディとキャップの判別、2色カプセルの検査など、錠剤とは異なる光学照明方法、検査アルゴリズムが必要となる。ハードカプセルに加え、ソフトカプセルへの応用も可能である。また、錠剤外観検査システムとの兼用化も実現している。

(c)バイアル、アンプル外観検査システム
 凍結乾燥剤、液剤などのバイアル、アンプル外観検査システムが実用化されている。一般的に  ロータリー式の搬送経路に沿って複数の検査機構を配置し、薬剤部、容器部、キャップ部など各部位の検査を実施する。特に、液剤の場合、高速回転を加えて液中の異物を舞い上がらせ検出する方法がとられる。

(d)顆粒、粉粒剤外観検査システム
 検査ドラムや検査ベルト状に薬剤の均一な薄膜を形成し、CCDカメラ、もしくはCMOSカメラによる撮像、検査を行う。選別機構は吸引による系外排出機構が使用される。

(e)重量選別機
 医薬品の小分け包装工程では、工程品の全数計量検査を目的に重量選別機を包装ラインに組込み使用されている。計量原理は数種類あるが、代表的なものとして差動トランス式、電磁平衡式などがある。充填包装ラインの複連化に合わせ、重量選別機も複連化が進んでいる。

(f)金属検出機
 医薬品内部に混入した金属片などを検知し選別する。検出部は高周波の発信コイルと1対の受信コイルで構成され、通常は同じ量だけの磁界を受信しバランスがとられている。そこに、金属等の物質が通過すると磁界を乱し、受信コイル間のバランスが崩れる。その時の磁界の差により良否判定を行う。

(g)リーク検査機
 PTPシート、分包品、ピロー品などのパッケージ品の完全密封性の検査を非破壊で行えるシステムである。検出原理は、圧力環境下に置かれたワーク内部へのエアの侵入、もしくは、内部から流出したエアの差圧変化を感度よく計測し、良否判定を行う。

(h)ピンホール検査機
 アンプル、バイアルなどの絶縁体のガラス容器の完全密封性の検査を、非破壊で行うシステムである。高周波高電圧をワークにかけ、クラック、ピンホールなどが存在した場合の放電による電流値変化を検知し、良否判定を行う。インラインで全数検査が可能である。

〔第一実業ビスウィル株式会社 垣内 省吾〕

更新日:2020年10月16日