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第1章 1.11 濾過

1.11.1 目的

(1) スラリーから固体(ろ過ケーク)の回収
(2) スラリーから精澄液の回収
(3) (1),(2)両方を目的とする場合
(4) スラリーから精澄液を回収し、かつ固形分を濃縮する場合

1.11.2 原理

 ろ過は、スラリーをろ布、ろ紙、金網、膜、粒子層などのろ材により細孔を介して湿潤固体と液体とに分離する機械的分離操作である。
 スラリーの固体濃度が1 vol%以上の場合は、ろ材面に粒子層(ろ過ケーク)が堆積し、その後このケーク層がろ材として作用する。この種のろ過をケークろ過といい、固体か液体またはその両者を得ることを目的とする。また、生成するろ過ケークを掃流機構により絶えず洗い流す方式では、スラリーから清澄液を回収し、かつ濃縮液が得られる。
 他方、0.1 vol%以下の希薄なスラリーでは、粒子はろ材層内部で補足分離され、ろ材面にろ過ケークはほとんど形成されない。このろ過機構は清澄ろ過(ろ材ろ過または内部ろ過)と呼ばれ、液の回収が主目的となる。
 圧搾は、スラリーや固液混合物を、液体は通すが固体を通過させない隔壁内に収容して、これを機械的に圧縮脱水する分離操作である。ろ過操作より低含水率の脱水ケークが得られる。

1.11.3 装置の分類

 一般的には、ろ過・圧搾はろ材の前後の圧力差によって行なわれるので、その方式別に分類すると次のようになる。
(1) 重力ろ過器
 重力によりろ材内部を液が通過する間にろ過が行われる。
(2) 遠心ろ過器
 液(スラリー)に遠心力をかけて、円周上の盧材を通過させることによりろ過が行なわれる。
(3) 加圧ろ過器
 ポンプ圧または圧縮空気圧をスラリーに作用させてろ過する。
 高圧が利用できるので大きなろ過速度が得られる。多くはバッチ式である。
(4) 真空ろ過器
 ろ材の背面に真空を作用させてろ過を行なう。通常、上流側は大気圧で操作し、連続ろ過が容易である。
 大量処理が可能で維持費が安価であるが利用できる圧力差が小さいので難ろ過性物質のろ過には適さない。
(5) 圧搾ろ過器
 バッチ式と連続式がある。バッチ式にはフィルタープレス、チューブプレス、プレートプレスなどがあり、
 連続式にはベルトプレス、スクリュープレス、円盤プレスなどがある。

1.11.4 操作パラメータ

ろ過・圧搾操作は圧力差により湿潤固体と液体とに分離する機械的分離操作であり、主なパラメータとして以下が挙げられる
(1) 加圧圧力、圧力差
(2) 遠心力
(3) 回転数
(4) 材料水分
(5) ケーク水分
(6) ろ過速度
(7) ろ過面積

〔株式会社大川原製作所 保崎 有香〕

更新日:2020年10月16日